INTRODUCTION
Made in Italy,
Made in Padova
ヴェネツィアから列車に乗って約30分。ロンカート社の本社工場があるパドヴァは、北イタリアで最も古い街のひとつで、1222年にパドヴァ大学が創設された伝統ある文化学園都市。世界中から巡礼者の訪れる、サンタントニオ聖堂があることでも知られています。
一方で、古代より交通の要衝であったこの地は、20世紀には急速に産業が発展し現在ではヨーロッパ最大級の工業地帯という顔も持ちます。
歴史と文化、芸術、最先端技術がクロスオーバーするこの街で、ロンカートをはじめとした多くの「MADE IN ITALY」製品はつくられ、世界中に送り出されているのです。
HISTORY
開発の歴史
ロンカートの歴史は1940年代に始まりました。
アントニオ・ロンカートは第二次大戦の爪痕がまだ残る中、妻パルミラとともに小さな工房を興しました。戦時中ラゲージ工場の生産責任者を務めていたアントニオはその経験を活かし、荒廃した故郷をあとに新天地を求めて旅立つ移民たちのためにバッグやスーツケースを作りはじめたのです。
幼いころから父の背中を見て多くの知識や先見性を育んだジョバンニは、航空機旅行の黎明期を経験したのち1970年代に現在のロンカート社を設立しました。
ヨーロッパで初めてアタッシュケースを製造するなど積極的な製品開発で頭角を現し、1980年代には長年の経験と時代に応える革新性により、アルミやナイロン、ポリエステル製のスーツケース、ダッフルバッグなど、新しい製品を次々と提供し新しい市場を切り拓きました。その後の20年間で生産量が増加したことで大きく成長を遂げこの分野をリードする存在となりました。
1990年代初頭には、さらなる重要な一歩を踏み出します。
たった1本の指で押すことができるユニークなスーツケース「SPHERA」を発表し、ロンカート社の先進性とデザインが注目を集めました。ポリプロピレンの射出成型によるいわゆる「ハードシェルスーツケース」の製造をイタリアで開始したことが、造形の自由度と製品開発能力を飛躍的に向上させたのです。これにより世界有数のスーツケースメーカーとして揺るぎない地位を築きました。
HISTORY
ものづくりへの情熱
旅のかたちが変わるにつれスーツケースに求められるものも多様化していきましたが、ジョバンニは世界の旅行者のニーズに応えるため、研究と開発への投資に意欲的でした。
2000年にイタリア製スーツケースとしては初となる4輪タイプを、その後には経験豊かな旅行者のフィードバックから、軽量で360度回転可能なケースを発表。
近年では、ポリプロピレンとポリカ―ボネイトを組み合わせた独創的なスーツケースを開発。軽さと頑丈さ、安全性と実用性。これまで両立できないと考えられていた常識を覆したのでした。
外観の美しさだけでなくユーザー本位の使い勝手まで考え抜いた結果、取り外し可能な内装等、数々のパテント(特許)を申請するに至ります。
ジョバンニは、世界を渡り歩いてきた経験からこのように話しています。
「スーツケースは耐久性が最も重要。少々値段が張っても、品質の良いものを選んだほうが結果的には経済的なのです。ケースに対する軽量化のニーズが高まっているので、さらなる軽量化をはかるべく新素材の研究にも日々取り組んでいます。私たちが製品を開発するとき、第一に想定しているのは日本の消費者です。見る目の厳しい日本の方々に満足してもらえる製品を作ることができたら、ヨーロッパはもちろん、世界中の人に受け入れられると信じています。細部までこだわりの詰まった、私たちの品質はすべての人に自信をもっておすすめできます。」
PHILOSOPHY
MADE IN ITALYの誇り
アントニオからジョバンニ、そして現在ではジョバンニの4人の子どもたちに受け継がれた長年の経験とノウハウ。それに何より製品に対する熱い情熱をもって取り組むこと。これがイタリア流のやり方なのだと言います。
ロンカート社は革新性、機能性、快適性、デザイン、すべてに妥協することなく旅行者や日常生活のための幅広い製品を自ら設計し製造していますが、ゴールはそこではありません。その製品を検証しさらなる改善によって常にユーザーの満足度を高めることこそが目標なのです。
本物の製品を追求するため、ロンカート社は品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得し、最先端技術の活用や厳格なクオリティコントロールを徹底した現代的な自社ファクトリーを運営しています。また、彼らが求める高い品質を維持するためには、継続的な研究開発、細部にわたる情熱的なクラフトマンシップ、目の届く範囲で生産を完結させることが必要不可欠でした。イタリア国内でのものづくり、「MADE IN ITALY」は必然なのです。
PHILOSOPHY
環境への取り組み
ロンカートが重視する「品質」とは、機能性やデザインのみを指すのではありません。
環境への配慮もロンカートが考える「品質」の一部であり、地球市民として環境への敬意を忘れることなく、製品や素材の改善を常に推進しています。
たとえば、ロンカート製品に使用されているポリプロピレン樹脂は、製造時のエネルギー消費量が少なくCO2排出量が他の素材に比べて少ないとされ、長期間の使用に応える強度や耐久性を持つ上、製品としての役割が終わったあとも100%リサイクル可能です。
次世代技術を積極的に採り入れ、より環境負荷の少ない素材や製造技術の開発にも余念がなく、今日もロンカート社のラボでは研究が進められています。